息子が、一週間遅れて寄宿舎に入った。
とにかく私と荷物を準備するペースが違って、どれ程イライラした事か。
私だったら数日前から、スーツケースに少しずつ、荷物を入れながら準備を始めるだろうに、一向に何も始めようとしない息子にイライラした。
何度も「いつ荷物を積めるの?」と聞いてしまった。
思えば、3人の子供の中で、一番私の感情を揺さぶる存在だった。
この嫌な感情が、自分を知る情報源になっていると分かっていても、なかなか自分の内面を、見つめる事ができないのが人間だ。
この子のお陰で、自分にも同じところがあった事を教えてくれていた感情。
それを自分が認めて、受けいれていなかったから、イライラしていたんだと気が付いた。
KTXで乗り換えをしながら3時間ちょっと。
まったく初めての土地なので、荷物もあることだし、今日はタクシーをフル活用。
ヨーロッパの建物を彷彿とさせる正門をくぐって やっと寄宿舎にたどり着いた。
何もかも、大きく広くて、空が広く見えた。
ホームプラスで買い物をして、あっという間に帰る時間になってしまい、またタクシーに乗り込んで浦項に向かった。
自分でも、びっくりするくらい悲しみ、さみしさ、不安な感情が出てこなかった。
あれほど子供の食事や行動に、神経をとがらせて心配していたのに.....
あの不安感は、一体どこへ行ってしまったんだろう。
何だか気持ちがいいくらい、さっぱりした自分の心が、とても愛おしく感じた一日だった。